タラは冬においしいお魚の代表格
白子とは魚類の精巣(全般)のことを指します。タラ、サケ、フグ、イカ等の白子が好んで食べられますが、一般的に“白子”といわれて思い浮かぶのは、スーパーでも手にいれやすいタラの白子ではないでしょうか。
タラといえば魚ヘンに雪と書く、冬においしいお魚の代表格。味のわかるヒゲがあり、魚やエビ、イカ、貝など、なんでもパクパク食べます。おなかいっぱい、という意味の「たらふく」に「鱈腹(たらふく)」と当て字をするのも、タラがたくさん食べておなかがふくらんだ姿からとされているほど。食いしん坊のタラは、顔もどこか愛嬌のある感じがしてなんとなく憎めない魚です。ちなみに日本のまわりの海でとれるタラの仲間(タラ科)は3種。鍋料理でよく食べられるマダラ、かまぼこなどの材料として重宝されているスケトウダラ、干物にするとおいしいコマイです。
この時期に“たらふく”食べたい白子
話は白子にもどります。マダラの白子は地方によって、呼び方が違います。北海道や青森では「タチ・タツ」や「タヅ」、秋田では「ただみ」、その他にも見た目が影響してか「菊子」や「雲子」と呼ばれることもあります。栄養的にはビタミンB1やビタミンB2、良質なたんぱく質も含んだ、栄養のある食材です。とろとろのクリーミィな食感、一年を通しても今しか食べられない旬の食材なので、この機会に“たらふく”食べたいですね。
日本らしい風流な「みぞれ鍋」
2月限定の「白子のみぞれ鍋」ですが、もともと「みぞれ鍋」とはおろし大根を鍋で煮ることで「みぞれ」のように見えることから、名づけられました。日本らしい風流な鍋なんですね。みぞれ鍋に浮かぶ、雪のような白子は、口の中にいれたとたん、あつあつにとろけます。寒さが一段と深くなる2月に、身も心もあたたまる「雪景色の鍋」がオツな気分です。
またこのお鍋の中には豆腐が入っていますが、豆腐と大根は一緒に煮ることで、豆腐に「す」(加熱のしすぎで穴があいて固くなること)が入りにくく、ふっくらと仕上がると、食通で有名な小説家、池波正太郎氏がその著書に記しています。ちょっとしたマメ知識として、豆腐にも注目してみてくださいね!